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加納ソルト

Author:加納ソルト&加納トマト&加納キムチ

今まで「Re-クレタとマルタ」で取り上げた作品はコチラから♪
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(加納ソルト 2007年5月1日更新)

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白鳥圭輔でございます!/海堂尊「チーム・バチスタの栄光」

クレタ: 傍若無人の白鳥が出てきてから、もうガラリと雰囲気が変わりましたね、この小説。もう楽しくって楽しくって。すげー変なヤツ。
マルタ: そうかなぁ? 探偵役は往々にしてあんな性格だよ。
クレタ: 厚生労働省の役人とは思えない…。まぁ、かなり外れてるみたいだけどね。
マルタ: うん。役人と考えるから変なヤツなんだ。白鳥は御手洗潔だ! と思えば、違和感ゼロ。
クレタ: というわけで、黄色の表紙が印象的な海堂尊「チーム・バチスタの栄光」です!
マルタ: 最前線の医療現場で渦巻くミステリってとこかな。
クレタ: そうそう。決してフットボール・チームの話ではありません。
マルタ: ???


4796650792チーム・バチスタの栄光
海堂尊
宝島社 2006-01

by G-Tools

[あらすじ]
東城大学医学部付属病院では、心臓移植の代替手術である「バチスタ手術」の専門チームを作り、 次々に成功を収めていた。ところが今、3例続けて術中死が発生している。 しかも次は、海外からのゲリラ少年兵士が患者ということもあり、マスコミの注目を集めている。 そこで内部調査の役目を押し付けられたのが、神経内科教室の万年講師で、 不定愁訴外来責任者・田口と、厚生労働省の変人役人・白鳥だった…。(宝島社HPより)


クレタ: とにもかくにも一気読み。4時間半で読めちゃった。
マルタ: わかる。グイグイ引っ張られますね。キャラとストーリーに。98%病院のシーンですね、これ。ラストの方で田口が休みを利用して、海へ散歩に行くくらい? あー後、あそことあそこにあるか…オーラスの場面だけど。
クレタ: うん。これぞ、病院小説です。
マルタ: ポイントは、医療ミスなのか? 殺人なのか? これが最後まで二転三転します。チーム・バチスタのメンバーにインタビューしても、医療ミス的な部分は出てこない。手術を見学してもわからない。じゃあ、殺人なのか? って考えても、手術中に怪しい動きをすれば、確実にわかってしまう。二重三重の監視の目があって、これまた不可能に思える。と、謎が深まって行きます。
クレタ: でも謎の部分は、オマケ程度よね。どうでもよくなってしまうほど、ストーリーが面白い。組織のしがらみや、チームの本当の内情など、ワクワクする展開が目白押し。
マルタ: 人気が高いので、図書館で借りるのは、至難の業。っていうか、予約がいっぱいなので買って読んだ方が早いね。
クレタ: 私は借りて読めたけどね。ホント、偶然あったんだ。ラッキー♪



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[加納クレタ&マルタ]本・国内長編ミステリ | 21:06:11 | Trackback(0) | Comments(0)
建築計画的に…/森博嗣「τになるまで待って」

クレタ: Gシリーズ第3弾! どうもこのシリーズが終わらないまま、Xシリーズの出てるみたいね。
マルタ: ふーん…。何か関連があるのかな? まぁ、いいや。Gシリーズはタイトルがそのまま作中に出てくることで有名(?)。今回で言うと、被害者の超能力者・神居静哉が聴いていたラジオドラマのタイトルがそれにあたる。
クレタ: タウって言われても、テレビくらいしか思いつかないわ…。というわけで、森博嗣「τになるまで待って」です。
マルタ: どういうわけだよ…。


4061824511τになるまで待って
森博嗣
講談社 2005-09-06

by G-Tools

[あらすじ]
森林の中に佇立する<伽羅離館>。”超能力者”神居静哉の別荘であるこの洋館を、7名の人物が訪れた。雷鳴、閉ざされた扉、つながらない電話、晩餐の後に起きる密室殺人。被害者が殺される直前に聴いていたラジオドラマは「τになるまで待って」。(表紙裏)


クレタ: 「φは壊れたね」では、「のでは」のオンパレード。で、今回は「建築計画的に」が私のツボだったわ(笑)。
マルタ: つまるところ、この建物は何? ってことになるんだろうけど…。そこが今回のポイントなのかな?
クレタ: うーん、名探偵コナン的展開なんですけど…組織とかいう単語が出てきちゃってるし(笑)。



[加納クレタ&マルタ]本・国内長編ミステリ | 19:31:16 | Trackback(0) | Comments(0)
私たちは一体誰を信用すればいいのでしょう?/三津田信三「シェルター 終末の殺人」

クレタ: ヒャッホー! こんな設定大好物です!
マルタ: クローズド・サークルもののこと?
クレタ: そうそう(笑)。そこから出れない理由が、またいいじゃない?
マルタ: そこから出たら出たで死んでしまう…か。
クレタ: そうそう(笑)。どうせいっちゅうねん! でもでも、おもしろかったー。
マルタ: というわけで、三津田信三「シェルター 終末の殺人」です。


4488017061シェルター 終末の殺人
三津田信三
東京創元社 2004-05-25

by G-Tools

[あらすじ]
東京創元社から依頼された長編のため、三津田信三は核シェルターの取材に赴く。奇矯な富豪が自邸の庭に造り上げた生垣迷路、その下にシェルターの入口は隠されていた。迷路を抜け、他のシェルター見学者たちと入口のの前に立った途端、空に巨大な閃光が。慌てて中に逃げ込んだ見学者たち。外の様子はまったく分からない。果たしてあの巨大な光は核爆発だったのか。滅亡の予感に怯える彼らを更に連続密室殺人が襲う。何の動機も発生するはずのない初対面の人間同士のあいだで、いったいなぜ殺人は続くのか…。(表紙裏)


クレタ: シェルターの外では人類が滅亡してるかもしれないという状況の中での連続殺人事件! 極限状況の極みですな。
マルタ: 滅亡ってのは言い過ぎかも…。大江健三郎いわく、核戦争後、生き残ってしまったものの憂鬱ってのもあるからね。つまり、核戦争によって人類が滅亡するのはかまわないが、絶対に生き残ってしまう者が存在する悲しさとでも言うか…。本書でも触れられてたけどね。
クレタ: それはいいとして、そんな状況で殺人を犯すことの無意味さってのが、あるじゃない?
マルタ: まぁ、そうだ。しかも、ご丁寧に密室と来ている。
クレタ: 私なら、あっさり扉を開けて放射能をシェルター内に入れちゃうね。しーかし! 犯人は回りくどい。その回りくどさには、理由があるわけだけど…。
マルタ: 長々とした核爆発の説明、ホラービデオのリストなど、所々ウンザリさせられたけど、僕が好きなのは、例えばこんなシーン。


ところが生垣の迷路に入ったときの人数が、私を入れて六人だったことを思い出したのだ。誰かを先頭にして迷路に入って行く人たちを、一番後ろになる私は無意識に数えていたのだ。一人、二人、三人、四人、五人、六人、---もちろんそこには火照陽之助(シェルター内に入ることができなかった人)も入っていた。
(中略)
ところが、シェルター内には五人いた。そう、一人多かった。


数えていたのに、一人多い。この恐怖感がたまりませんよね。そして、記述者の三津田信三は違和感、違和感で物語を進めて行くんだけど、この違和感に翻弄され、大いなる違和感をミスリーディングをさせられるのが、僕たち読者なんだよなぁ(笑)。
クレタ: 私ももう何を信じていいのかわからなくなったわ…でも、この作品おもしろい!
マルタ: それは信じていいのか?

[加納クレタ&マルタ]本・国内長編ミステリ | 00:06:20 | Trackback(0) | Comments(2)
スリルな夜/勇嶺薫「赤い夢の迷宮」

クレタ: 久しぶりに発売ホヤホヤの新刊本を購入して、読んでみました。
マルタ: この人「はやみねかおる」名義で児童書を中心に活躍しているミステリ作家なんだ。僕らが読んだところでいうと「僕と先輩のマジカルライフ」がそれにあたる。
クレタ: ふーん。あれは、ライトなタッチの日常ミステリの作品だったわね。おもしろかったわ。
マルタ: それで、今回の「赤い夢の迷宮」は「勇嶺薫」名義で執筆された大人向けのミステリとなってるんだってさ。
クレタ: ふーん。


4061825283赤い夢の迷宮
勇嶺薫
講談社 2007-05-10

by G-Tools

[あらすじ]
小学生だったあの頃、仲良し7人組のぼくらは「世の中には、やっていいことと、やっておもしろいことがある」と語る不思議な男・OGに心惹かれていた。だが「お化け屋敷」と呼ばれる彼の館で起きたある事件をきっかけに彼とは疎遠に。それから25年、大人になったぼくらは突如OGに招かれ、再びあの館へ。しかし、そこで待ち受けていたのは悪夢のような殺人事件だった。(表紙裏より)


クレタ: 途中までは、小学生時代のワクワクドキドキの冒険物語。さぁ、過去にどんな忘れられない出来事があったのか? と物語に引き込まれていきます。でもね、25年後の同窓会に戻ってきてから、率直にいうと、肝心の殺人事件の夜があっという間に過ぎ去った感があってさ、なんだろう? あっけない幕切れというか何というか…。
マルタ: そういう印象は否めないね。殺人シーンがあっけなかったかな? 気づいたら死んでたみたいな。
クレタ: ジェットコースター的あれよあれよという間に犯人が絞られていく。急展開が好きな人にはたまらなくおもしろいかも。



[加納クレタ&マルタ]本・国内長編ミステリ | 21:07:52 | Trackback(0) | Comments(0)
探偵役が多すぎる/森博嗣「θは遊んでくれたよ」

クレタ: イェーイ! Gシリーズ第2弾ですよ~!
マルタ: わぉ! テンション高っ!
クレタ: もぅ~久しぶりですからねっ! ヨッシャー! 読んだぞ~☆
マルタ: 「ストップ・ザ・ハイテンション」でお願いしますよ。疲れます。
クレタ: はいはい、わかりましたって。読んだのはね、森博嗣「θは遊んでくれたよ」です。連続して自殺と思われる死体に「θ」のマークが描かれていたんで、連続殺人を匂わせる感じで始まります。
マルタ: 前回の「φは壊れたね」と同様、小説内で出てきた文章がタイトルになってますね。
クレタ: そうね。だいぶ後半になってからだけど。決して、パズー的な意味で付けられたわけじゃないわ。
マルタ: 当然! それなら飛び降りても、フワリとしちゃう。


4061824317θ(シータ)は遊んでくれたよ
森博嗣
講談社 2005-05-10

by G-Tools

[あらすじ]
飛び降り自殺とされた男性死体の額には「θ」と描かれていた。半月後には手のひらに同じマークのある女性の死体が。さらに、その後発見された複数の転落死体に印された「θ」。自殺? 連続殺人? 「θ」の意味するものは? N大病院に勤める旧友、反町愛から事件の情報を得た西之園萌絵らの推理は…。(表紙裏)


クレタ: 読んでるうちに「黒岩博士の恐怖」を思い出して、もしかして…と考えたら、結構辻褄が合ってきたから、トリック的な部分はわかっちゃった。
マルタ: 「おみくじ殺人事件」でしったっけ? なるほどね。経験の積み重ねが推理に反映されたパターンか。
クレタ: まぁ、どうだっていいけど…。そんなことより、レギュラーメンバーが何かしら事件と関わってて、その部分的な情報が萌絵を中心に集まってくる。そこがおもしろいかな。
マルタ: 今回も一応海月クンが解決パートを担当させられてたけど、誰もが探偵役を引き受けられそうな気配です。これもどうだっていいけど。
クレタ: どうだっていいですか?
マルタ: うん、どうだっていいこと。



[加納クレタ&マルタ]本・国内長編ミステリ | 20:51:19 | Trackback(0) | Comments(0)
インスピ女/東野圭吾「仮面山荘殺人事件」

マルタ: ルンルン♪
クレタ: なんかいいことあった?
マルタ: ウッ…! どうしてわかった?
クレタ: なんとなくね。ていうか、ルンルン♪って言っちゃってるし…。
マルタ: そっ、そっ、そんなことないよ!ハハッ…。
クレタ: うわぁ、白々しい笑い方。女の勘をバカにしたら痛い目にあいますからね。気をつけて。
マルタ: 怖っ!
クレタ: ところで私、本を読んだの。
マルタ: 女の勘とどう関係あるの? けど、クレタも本を読むんだね(笑)。
クレタ: 私も本ぐらい読みますっ!
マルタ: ごめんごめん。なんて本?
クレタ: 東野圭吾さんの「仮面山荘殺人事件」。久しぶりに、本の世界にグイグイ引き込まれたわ。


4061859668仮面山荘殺人事件
東野 圭吾
講談社 1995-03

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クレタ: 最近、図書館で借りた本で面白いのが無くって、パラパラーっと適当に読んで返却パターンばかりだったの。でも、この本ときたら…マジで。
マルタ: 僕も読んでますよ! 今まで読んだ中でベスト10に入るおもしろさ。すごい展開だったよね。最後、読んでて「ウゲェー!」って言っちゃったよ。マジで!
クレタ: 私もまさか、あんな終わり方をするなんてビックリだった。「ニャホー!」って言っちゃったもん。
マルタ: ミステリは犯人がなかなか分からないのがいいんだよね。特にラストのドキドキ&ゾクゾク感がたまんない!
クレタ: えっ? そう? 最後あんな終わり方だなんて思わなかったけど、犯人ははじめの30ページまでで分かったわよ。
マルタ: ウゲェー! マジでかっ! 犯人を特定できる記述なんかあった?
クレタ: まあ、所々ポイントはあったような、なかったような…。ひとつ言えることは、女の勘ってやつね。
マルタ: ニャホー!



[加納クレタ&マルタ]本・国内長編ミステリ | 22:00:00 | Trackback(0) | Comments(0)
マルタカンハレ/道尾秀介「シャドウ」

マルタ: 久しぶりの読書ですよ。
クレタ: そうねぇ。長編で言うと、北村薫の「ニッポン硬貨の謎」以来ね。
マルタ: 読んだ本はね「2007本格ミステリ☆ベスト10」に、なんと3作もランクインしていた道尾秀介さんの作品の中から1冊選んでみました。といっても、図書館に行ったときにコレしかなかっただけなんだけどね。
クレタ: でも、この作品が彼の最新作のようね。その名も「シャドウ」


4488017347シャドウ
道尾秀介
東京創元社 2006-09-30

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[あらすじ]
「人間は、死んだらどうなるの?」「いなくなるのよ」「いなくなって、どうなるの?「いなくなって、それだけなの…」その会話から3年後、鳳介の母はこの世を去った。父の洋一郎と二人だけの暮らしが始まって数日後、幼馴染みの亜紀の母親が自殺を遂げる。夫の職場である医科大学の研究棟の屋上から飛び降りたのだ。そして亜紀が交通事故に遭い、洋一郎までもが…。父とのささやかな幸せを願う小学五年生の少年が、苦悩の果てに辿り着いた驚愕の真実とは?(表紙裏)


マルタ: 何かよからぬことが起こっているぞ! と読み進めて行くうちに、背中のゾワゾワ感と、下半身の浮遊感がたまりませんでしたね。
クレタ: ちょっと、下半身の~という表現はいかがなものかと。特にこの小説の場合。
マルタ: でもね、助手席に乗ってて、道路に起伏がある場所を走行した時の、あのゾクッとした感じ? わかるかなぁ…あれに似た体験だった。
クレタ: わかんない。けど、いやーな気持ち悪さが全編に漂っていることは確かね。
マルタ: 当然のことながら、ラストのどんでん返しを期待して読んでるわけですよ、僕はね。でも、途中で「もう決まりやん! コイツで」みたいに、真相を勝手に解き明かした気になっていた。これが、ベスト10入りとは、もう日本のミステリは終わりだみたいなエラソウなことまで考えてた。
クレタ: 大げさなことを…。
マルタ: しかし、僕の想像の上を行くね、やっぱり。さすが、日本ミステリ。まだまだ安泰ですよ。
クレタ: どちらにしても、エラソウだわ。
マルタ: 僕が考える優れたミステリの一つに伏線がどれだけ、うまくバラまかれているか? というのがあるんだ。うまく言えないけど、この作品は二重の伏線が張られていたとでもいいましょうか?
クレタ: ???
マルタ: ニセの伏線とホンモノの伏線。僕はキッチリ、ニセの伏線の方を走らされたわけ。だから、間違えた。まぁ、この作品は一言でいえば、「伏線まみれ」です。
クレタ: ふーん。メチャメチャあるわけね。でも、覚えておくのが大変そうね。ところで、かなりしょっぱい感想ですけど、他に何かないの?
マルタ: そうですね…おもしろかったです。
クレタ: 登場人物のココがこうだとか? あのシーンのアレはどうだとかは?
マルタ: そうですね……
クレタ: ないの?
マルタ: そうだなぁ…
クレタ: なさそうね。



[加納クレタ&マルタ]本・国内長編ミステリ | 18:00:00 | Trackback(0) | Comments(4)
時間は可変性がある/梶尾真治「この胸いっぱいの愛を」

マルタ: 僕が小学生の頃だったかな? 友達と公園で野球して遊んでたんだ。ワイワイ遊んでたんだけど、道路をまたいだ歩道の辺りに立ってた男がチラチラ視界に入るのが気になったの。なんかジーッとコッチを見てるんだ。
クレタ: うわーなんかキモチワルイね。子供を狙う変質者的な人なんじゃないの?
マルタ: 運悪く、友達が打ったボールが道路まで飛んで行ってしまって、ボールを取りに行ったんだけど、男がボールの数メートル先に立ってて、僕の方をジーッと見てるんだ。「何見てんだよオッサン」と心の中で呟きながら、無視してボールを拾って公園に戻った。しばらくして、また友達が大きいの打って、道路に飛び出た。やれやれ、と思いつつ取りに行こうとしたら、やっぱり男がコッチを見てるわけ。そして、近づいてきて…。拾ってくれたんだ。ボールを。でもね…
クレタ: ゲゲッ!いよいよ?
マルタ: 次の瞬間、顔が豹変して「おまえ、明日から絶対ココで遊ぶなよ! 遊んでるの見つけたらシバクから」と低い声で言うんだ。
クレタ: えー メチャメチャ怖いやん。
マルタ: そりゃ怖いよ。チビリそうになったもん。逃げるように友達の所へ駆け寄って行って、「向こうにヤバいオッサンがいるから、もう帰ろう」と言った。でも、友達は「どこに?」みたいな不思議な顔をするんだよね。振り返って道路の向こうを指差そうとしたら、男はもういなかった…。さっきの話をしたらみんな気味悪がって、結局、家に帰ったんだ。明日も公園で遊ぶ約束してたけど、それも止めることにした。後で気づいたんだけど、次の日からその公園の近くで住宅開発が始まって、ダンプがよく通るようになったんだ。遊んでたら、もしかして飛び出して行った時に轢かれて死んでたかも…。今では未来の自分が教えてくれたと確信してる。
クレタ: その解釈、都合良すぎでしょ(笑)。タダの変なオッサンよ。絶対。
マルタ: そうかな? 僕が年老いた感じだったんだけどなー。まぁ、いっか。というわけで、梶尾真治「この胸いっぱいの愛を」です。


4094080473この胸いっぱいの愛を
梶尾真治
小学館 2005-09-06

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[あらすじ]
もし、もう一度、あの時間に戻れるとしたら。そして、やり直すことができるとしたら…。
大好きだった年上のある女性、産んだ直後に死んでしまった母、交通事故で亡くなってしまった息子。1986年、門司。"あること"をきっかけに、過去に戻ってしまった登場人物たちそれぞれの群像劇。(表紙裏より)


クレタ: 登場人物たちの共通点は「門司行224便に搭乗した」ことと「1986年に何らかのこだわりがある」こと。その人たちが過去へ飛ばされてしまう。で、亡くなってたはずの人たちを救ったりするわけです。鈴谷のエピソードを中心に据えながら、それぞれの小話も秀逸で胸に熱いものが込み上げてきますね。
マルタ: 特に死んでしまった稔を救う元夫婦の和彦と栄子の話が好きだな。よくできてる。稔の死の前日に飛ばされたことに気づいた2人は、何としても、稔を救おうと考えるんだ。それこそ、犯罪も辞さない覚悟で。この時代では現在のお金が使えないため、宿をとるために自分たちの家に忍び込んでお金を盗む。それは明日、稔の学費保険の支払のために下ろしてあったお金だった。もし運命が変えられないなら、このお金は必要なくなるからと自虐的に笑い合った。稔の死の原因は朝、栄子に頼まれ、和彦の書類を届けようとして交通事故で亡くなっていた。時刻は8時45分。本当はこの書類、今日は必要ないからと和彦はあえて置いていったんだけどね。だからお互いが自分に責任を感じてるんだ。で、当日バス乗り場で、稔が来る前に来るはずの当時の和彦を待った。早く家に戻れ! と言うために…。
クレタ: しかし、来なかった…。どうしてだろう? という話だったわね。
マルタ: 僕たちは「過去は改変できない」と教えられて育った世代。でもこの小説では、可変的なものとして描いているんだよね。そして、このエピソードで使われた手法はうまいです。
クレタ: この作品、映画のノベライズなのよ。結末が違うようだから、映画も観ないとね。



[加納クレタ&マルタ]本・国内長編ミステリ | 00:48:31 | Trackback(0) | Comments(0)
火山×学生×殺人/有栖川有栖「月光ゲーム」

クレタ: 再読! だけど、内容は火山が噴火して、ルナティックな女がいたこと以外、スッコリ忘れてました。犯人も当然覚えてなかったし、まるで初めて読むかのように接することができたわ。
マルタ: そういえば、ミステリ読み始めの頃に、出会った作品だね。
クレタ: 初めて読んだとき、学生アリスがシリーズ化されているとは知らなかったから、江神部長、超怪しいと思ってたわ。知らない方のために言っておくと、彼は探偵役なのです。
マルタ: わかるよ、普通。というわけで、有栖川有栖のデビュー作「月光ゲーム」です。


448841401X月光ゲーム -Yの悲劇 '88-
有栖川有栖
東京創元社 1994-07

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[あらすじ]
夏合宿のために矢吹山のキャンプ場へやってきた英都大学推理小説研究会の面々の一行を予想だにしない事態が待ち構えていた。矢吹山が噴火し、偶然一緒になった3グループの学生たちは、一瞬にして陸の孤島と化したキャンプ場に閉じ込められてしまったのだ。その極限状況の中、まるで月の魔力に誘われでもしたように出没する殺人鬼。その魔の手にかかり、ひとり、またひとりとキャンプ仲間が殺されていく…。いったい犯人は誰なのか? そして、現場に遺されたYの意味するものは何?


クレタ: もう、言い飽きたけど、大学生が隔絶された空間に閉じ込められると、ロクなことがない。マジで。
マルタ: 総勢は、えーっと、1、2、3…8、9、10…15、16、17。17人! 多いね。
クレタ: 1ヶ月くらい一緒にいないと、全員の名前は覚えられませんよ、マジで。
マルタ: 噴火が起こって下界と隔絶される。天災系クローズド・サークルパターン。サヴァイブしないといけない状況の中での犯人探しだからね。登場人物たちはは二重の困難を抱え込んでいる。災害で死ぬか? 殺人鬼に殺されるか? さぁ、どっち! ってなもん。
クレタ: さっきルナの印象が残ってたと言ったけど、再読したら、竜子の何気なく言った数々の一言の方が予言的で興味深かった。もっと彼女を物語に絡ませて欲しかったな。後は、マーダーゲームとキャンプファイヤーのノリについていけませんでした。殺人が起こってからも緊張感があまり伝わらないし。もうちょっとそれぞれのグループ間でいさかいがあってもよかったかな。
マルタ: そういえば、月が人間の体に影響を及ぼすこと知ったのはこの作品だ。何かの折にはよく使うネタなんですよ。
クレタ: 前、使ってたね。
マルタ: 月関係では他に「月はみずから光を出しているか?出してないか?」というクイズも子供の頃よく言ってたな…。
クレタ: 出してないよね?



[加納クレタ&マルタ]本・国内長編ミステリ | 23:19:46 | Trackback(0) | Comments(0)
ハートのAが出てきたよ/鮎川哲也「りら荘事件」

クレタ: ミステリ界の巨匠、鮎川哲也氏の代表作(?)「りら荘事件」です。恥ずかしながら鮎川氏の著作、初めて読みました。
マルタ: 僕も「十角館の殺人」で解説を書いてた人だなぁくらいの知識だから。鬼貫警部が有名らしいよ。
クレタ: ところでこの作品、私たちの大好物の大学生御一行、館、連続殺人と舌なめずりする設定です。
マルタ: プラス見立て殺人も加わって完璧ですね。惜しむらくはクローズド・サークルじゃなかったところくらいか?


4061851373りら荘事件
鮎川哲也
講談社 1992-03

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[あらすじ]
秩父の山荘に七人の芸術大学生が滞在した日から、次々発生する恐怖の殺人劇! 最初の被害者は地元民で、死体の傍にトランプの「スペードのA」が意味ありげに置かれる。第二の犠牲者は学生の一人だった。当然の如く「スペードの2」が…。


マルタ: 何度も目の前で殺人を起こされてしまう、懲戒免職確実のマヌケすぎる警察はさておき、犯人の大胆さには本当に驚いた。
クレタ: 役立たずの警察なんか出さないで、いっそのことクローズド・サークルにしてしまえばいいじゃん。と思うけど、そうしない理由が存在するのよね。
マルタ: そう、全ての何気ない引っ掛かりには意味がある。「後日、考えてみると…」みたいな文句がしつこいくらい小説中に出てきますが、正にその通り。
クレタ: 「犯人はあの人だろうな?」と予想はつくけど、モヤモヤした感じで、パッと言い切ることはできないのよね。
マルタ: というわけで、以下ネタバレ度100%なので、未読の方は要注意です。



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[加納クレタ&マルタ]本・国内長編ミステリ | 21:42:53 | Trackback(0) | Comments(6)
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